2級建築施工管理技士
「令和6年度 2級建築施工管理技士 第二次検定 総評」
令和6年11月24日、 2級建築施工管理技士技術検定 第二次検定が実施されました。
下記に「各問ごとの講評」と「総評」を記載致します。
1 問題1 経験記述
本年7月10日に、試験実施機関である一般財団法人 建設業振興基金から発表された「試験問題の見直しについて」の内容のとおり、工事概要は予め問題用紙に提示されました。提示された工事概要は、「新築工事」用、「解体工事」用、「改修工事」用の3つであり、受験者がその中の一つを選択するというものでした。3つの工事概要のいずれも、具体的に、かつ、広範囲にわたり記載されており、実際の建築物の「仕様書」の様なものでした。かなり詳細で広範囲にわたる記載がある工事概要であった為、受験生自身が経験した工種を見つけやすかったのではないかと思います。ただし、提示された工事概要を読み取り、どのような建物の工事であるかのイメージを浮かべることができないと、解答しづらかったのではないかと思います。
予想出題テーマとしましては、昨年出題されなかった「施工計画」又は「品質管理」のどちらかであろうとの予想でしたが、今年度の出題テーマは「施工計画」でありました。設問1においては、3つの視点から施工計画時の検討事項を記述する設問で、過去にも同じパターンで出題されていましたので、比較的回答しやすかったのではと思われます。
設問2においては、「品質低下」及び「公衆災害」の防止についての記述が求められました。これらの内、「公衆災害」については8年ぶりの出題となり、戸惑われた方も多かったと思われます。が、常日頃の現場管理業務において必ず検討すべき項目となるため、回答し易かったのではないかと思います。ただし、常日頃どれだけの問題意識をもって業務に携わっているか、自分の考えを文章として表現する力が有るか、以上の両方が欠けていると解答しづらい設問であったといえます。
出題形式見直し後初めての経験記述の設問は、単純な暗記や、一夜漬け的な学習では太刀打ちできず、受験生各自の施工管理業務への取り組み方、日頃からの問題意識の有無が試されるものとなり、試験実施機関の目的である「模範解答例の暗記等ではなく、自身の経験に基づかなければ解答できないような設問とする」ことは、ある程度は実現できたのではないかと考えます。
2 問題2 用語説明・施工上の留意点
14の用語の内、5つを選択する形式は従来通りでした。平成16年以降の出題履歴を振り返りますと、「f:鉄骨工事の建入れ直し」と「m:木製の額縁」が初出題でしたが、一次検定対策として学習した際の躯体仕上工事の知識があれば対応できたものと思われます。その他の選択肢は全て過去問からの出題でした。特に「問題2」については、過去問を繰り返し学習することが最も効果的といえましょう。当会講座におきましても、下記の様に、本試験で出題された選択肢を扱っていました。
模擬試験:「g:テーパエッジのせっこうボードの継目処理」「n:床コンクリートの直均し仕上げ」
演習問題:「c:クレセント」
難易度としては、比較的易しい問題でした。
< em>3 問題3 工程管理
近年の出題傾向と同様に、鉄骨造建物のバーチャート工程表の出題でした。小問で問われている内容は、ほぼ例年と同じ内容でした。過去問を繰り返し練習しておくことにより、対応できたものと思われます。注意しなければならないのは、与えられた資料(特に「出来高表」)を正確に読み取らなければならないという点です。難易度としては、正確な読み取り力があれば、標準的な問題でした。
4 問題4 法規(四肢一択)
建設業法、建築基準法、労働安全衛生法から各1問づつ出題されました。
- ・建設業法 第26条の4 →形式は異なりますが、R2、H27、H24に全く同じ条文が出題されていました。
- ・建築基準法施行令 第136条の8 → 初出題でした。昨年も同条の7が初出題されていました。過去においては、令第136条の2、令第136条の3からの出題が殆どであったのですが、「工事現場の危害の防止」に関する条文として、施行令第136条の2の20から、136条の8までの条文を読み込んでおくことが必要かと思われます
。
- ・労働安全衛生法 第14条 → H26に出題されて以来、10年ぶりの出題となった条文です。戸惑われた方も多かったと思いますが、日常業務と密接に関連する内容であることから、回答しやすかったのではないかと思われます。
3問中1問が初出題となりましたが、どの条文も、冷静に読み進めていけば正答肢を選択し易い設問であったかと思われます。放棄の分野も、過去問を繰り返し学習するのが効果的かと思われます。
5 問題5 躯体施工・仕上施工(四肢一択)
5-A、5-B、5-Cのいずれも、正確な数値を把握していることが必要とされる設問が含まれ、やや難しい傾向となりました。一方、5-A、5-B、5-Cのいずれにも、非常に基本的な問題も含まれており、問題の難易度にばらつきがありました。基本的な問題は必ず得点できるように、各工事分野の基本知識を整理する必要があります。
6 総評
- 問題1:やや難
- 問題2:易しい
- 問題3:標準的
- 問題4:標準的
- 問題5:やや難
上記のような傾向となり、全体としては「やや難」であったと思われます。