発 足
昭和32年5月15日、建築士法の一部改正が行なわれ、新たにおよそ8万人の二級建築士が誕生しました。以前から、日本固有の風土に根ざした建築を守り、住み手と共に歩む魅力ある建築士会をつくりたいと考えていた有志は、この新制度発足を機に新しい建築士会設立の気運が高まり、初代会長に故今和次郎氏(早稲田大学教授)を迎えて、昭和33年9月6日、全日本建築士会設立総会が開かれました。
この総会には、建築に携わる文化人、学者、設計者をはじめ、全国建設労働組合連合会(全建総連)傘下の大工技能者や国鉄、自治体、日建協、住宅公団、建設省等の技術者も多数集まり、翌昭和34年3月6日には、建設省から一般社団法人の認可を受け、故竹内芳太郎氏(元東京教育大教授)を会長に、正式に一般社団法人全日本建築士会がスタートしました。その後も歴代会長のもと、一貫して在来工法の継承と新工法の開発に努め、木造建築文化の発展をめざしてさまざまな活動を進めてきました。
いうまでもなく木造建築文化は、日本が世界に誇る貴重な財産です。その継承と発展に向かって、多くの建築士の皆さんが全日本建築士会とともに歩まれることを期待しています。
建築行政への提言
全日本建築士会では、その創設の趣旨を踏まえ、建築文化の進展に係わる様々な公益事業を実施し、また、建築行政への提言も積極的に行なっています。公益事業としては、法令改正、新技術開発に係わる啓蒙活動や良質な建築士を育成するという本会設立主旨に根ざした一級、二級建築士受験講座、一級、二級建築施工管理技士講座や住環境管理士会員講座を実施しています。また、伝統木造建築に係わる伝統的景観の保存、伝統的技術・技能の継承・育成、海外建築関係団体との交流を積極的に進めています。
全日本建築士会は、その設立以来、海外建築界との積極的な交流を進めています。中国とは、日中国交回復後間もない1977年に第一次の訪中団を送り出して以来、お互いの建築事情を学び、建築文化を通じて両国の友好発展に資する交流を続けてきました。
また、近年はわが国の伝統的街並みの保存・再生を見直し、進展させることを目途として、日仏景観会議を実施し、更に、平成24年には、東南アジアで伝統木造建築の集積地として世界遺産にも登録されていることでも知られるベトナム フエにおいて、伝統木造建築国際会議を本会とフエ遺産保存センターとの主催により開催しました。
この日越伝統木造建築国際会議はベトナム フエの紫禁城内の歴史的建築物である閲是堂で開かれ、本会とフエ遺産保存センター(HMCC)との間で、今後、継続的に交流を図って行く旨の協定書に調印しました。
全日本建築士会は以下の附属機関により公益活動を行っています。
・フランスの技能五輪国際大会参加者
・附属伝統建築研究所
我国の木造伝統建築について、伝統構法の研究、継承等に係わる調査、研究等を行い、また海外との交流も行っています。
・附属中央建築技術研修所
良質な建築技術者を育成する見地から、一、二級建築士試験受験講座、一、二級建築施工管理技士試験講座を開講しています。
・附属建築道具館
我国の伝統的建築工具である大工道具を展示しています。フランスの技能五輪国際大会参加者の一行も来館しています
2023年6月の総会で新会長 中村 光彦が就任。
本会は、考現学として名高い 故 今和次郎氏を初代会長として迎え、昭和33年に設立 されて以来、一貫してわが国の建築文化の継承と進展を目指して、様々な啓蒙活動を 実施し、また、建築文化の相互理解を深めるための諸外国建築会との交流を積極的に 続けて参りました。更に、質の高い建築士を育成するという本会の活動方針のもと に、公益活動の一環として実施してきました建築士受験講座は、50年余の実績を有 するものとして高い評価を得て参りました。一級建築士、二級建築士受験講座及び一 級、二級建築施工管理技士講座は従来の講座内容にさらに工夫を重ね、いっそうきめ 細やかな指導を目指すもので、必ずや受験生諸氏の期待に応えることができるものと 考えております。近年、環境問題等の係わりからも、改めて木造建築の見直し気運が 高まっている中にあって、今後の本会の活動に関係各位からの更なる御理解と御協力 をお願いする次第です。