一級建築士 試験

28年度 学科試験の総評

- - 平成29年7月25日 -

  近年の一級建築士学科試験では従来の出題分野を超えた新規内容の設問を含む問題や、従来の出題範囲であってもより深い理解力を要する設問を含む問題が一定の割合で出題されるようになってきました。本年の試験も総じてそれらの傾向が踏襲されたものとなりましたが、試験問題の難易度としては、学科Ⅰ(計画)、学科Ⅱ(環境設備) 、学科Ⅴ(施工)は例年よりもやや難易度が高く、学科Ⅲ(法規)、学科Ⅳ(構造)はほぼ例年並みの難易度です。
 全体的には例年よりやや難易度が高かったと言えます。

1 学科Ⅰ(計画)
 先ず、昨年初めて出題された職業倫理に関する問題が本年も引き続き出題されたのは注目されます。建築士法上の倫理規定の流れにそう問題と考えれば、今後も出題される可能性は大きいと言えます。
 また建築士法に関する問題が本年も1題出題されましたが、平成18年の建築士法の大改正を受けた近年の傾向としてすっかり定着した感があります。
 また本年に特に注目されることとして、近年徐々に出題傾向の増えてきた防災に関する問題が2題出題されましたが、今後もこの傾向は定着して行くことと考えられます。
 また建築史、建築作品に関する問題が本年は計7題出題されたことも注目されます。
 その他、医療、福祉等に関する問題等で新規な設問を含む問題も比較的多く出題され、学科Ⅰ(計画)の問題は総じて例年よりもやや難易度が高かったと考えられます。


2 学科Ⅱ(環境設備)
 問題の分野別構成は、例年通り、環境工学10問、建築設備10問でした。
 全体的に既出題範囲外からの新規な設問は少なかったものの、設問の方法等に工夫を加え、単に過去問題を丸暗記しているだけでは正解に至らす、理論に対していかに深く理解しているかを問われる問題が目立ち、難易度は例年より総じて高かったと言えます。
 特に、火災等の場合の排煙に関する問題は、防災関連の問題としても注目され、省エネルギーに関する問題では、ZEHに関する事項が近年の省エネ政策に係わる新規な設問として注目されました。


3 学科Ⅲ(法規)
 出題分野構成は例年通り、建築基準法20問、関係法令10問でした。本年も建築士法に関する問題が融合問題1問を含め、計5問出題されましたのは特に注目されますが、今後もこの傾向は続くものと考えられます。
 また、法改正に伴う分野からの出題が、特に建築士法や省エネ関係法等の問題で見られたもの注目されます。
 なお、従来、2級建築士の問題で出題されていた木造軸組構造に関する問題が1級の問題として初めて出題されたのも注目されましたが、基礎をしっかり理解していれば出来る問題であり、逆に基礎をしっかり理解していなければ出来ない問題であったともいえます。総じて問題の難易度は例年並みであったともいえます。


4 学科Ⅳ(構造)
 各分野別の出題構成は、構造力学6問、各種構造21問、建築材料3問で、ほぼ例年通りでした。構造力学6問は、いずれも基礎的理解がしっかり身についていれば、解ける問題であったといえます。

 各種構造の分野では、振動特性係数に関する問題や長周期地震動に関する問題、塑性変形性能に関する問題等で難易度の高い問題も出題されましたが、総じて問題の難易度は例年並みであったといえます。


5 学科Ⅴ(施工)
 施工分野の出題範囲は広く、詳細な専門用語に係る問題等が新規な設問として出題されることも多いことから、近年の施工の問題の難易度は概して高い傾向が続いてきましたが、本年も新規の設問を含む問題の割合が多く、施工の問題全体としての難易度は高かったと言えます
 また近年は、施工の問題として建築士法における工事監理業務に関する問題の出題頻度も高くなってきていますが、本年も学科Ⅰ(計画)でも出題された建築士法における工事監理業務に関する問題が出題されていたのは注目されます。


 近年の一級建築士学科試験の問題は、特に平成21年の試験の見直し以降の傾向として、一部に、既出題範囲外からの問題や、既出題範囲内からの問題であっても、より深い理論に関する理解等を要する問題の出題も目立つようになってきました。
 但し、そのような傾向の設問を含む問題であっても、4肢択一式の問題では、他の既出題範囲内の設問が着実に解ける力が身についていれば解ける問題も少なくありません。
 以上から、先ずは、各科目についてのしっかりした理解に基づく基礎力を養成し、その基礎力の上に着実な広範囲な応用力を築いて行く事が肝要であるといえます。


 
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