二級建士試験築

29年度 設計製図試験 課題の講評

- 平成29年6月8日 -

課題: 家族のライフステージの変化に対応できる三世代住宅(木造2階建)


本課題の本質的な意味
-時間の経過を織り込んだ設計の住宅-

 本年度の課題の本質的な特徴は、従来の課題は時間の経過を特に考慮に入れない設計の課題であったのに対して、本年度の課題は、時間の経過を織り込んだ設計の課題であるという点です。
 近年、良質な社会資産の形成を重視する、いわゆるストック型社会の到来により、住宅も国の施策として長寿命型住宅(長期優良住宅)の開発等が進められて来ましたが、実は、建物(住宅)の寿命には、「物理的寿命」と物理的寿命は未だ充分であっても使い勝手等の悪くなる「機能的寿命」とがあって、本来の住宅の長寿命化のためには、「物理的寿命」の長期化の他に時間経過を織り込んだ「機能的寿命」の長期化が不可欠であるといえます。
 本年の課題は以上のような観点から、非常に深い意味を有する課題であるといえるもので、従来の一・二級設計製図試験の課題に比して新傾向のものであるともいえます。

本課題のポイント
①ライフステージの変化に対応
 ライフステージとは、人の一生における大きな節目、就学、就職、結婚、出産、子供の成長、独立、定年退職、高齢化、親の介護などの様々な節目のことで、これらの節目に生じる生活空間の変化に対応して住宅として大きな改変をすることなしに、比較的柔軟に、フレキシブルに対応できることをいいます。

②三世代住宅
 三世代住宅は、文字通り、三世代の同居する住宅で、最も一般的な例としては、親世代、子世代、孫世代が同居するパターンで、従来の課題でも老夫婦と子供夫婦とその子供の同居する2世帯住宅の例として出題されています。

③外壁の仕上げ
 本課題では、「外壁の仕上げについては、試験問題において指定した仕様により行うものとする。」とわざわざ記されていることからも、図面上の重要な採点ポイントとなる訳で、部分詳細として指定された部分(基礎部分、2階床組部分、軒先部分等)において、外壁の仕上げについて湿式工法の場合、乾式工法の場合等、正確に記すことが出来るように準備しておく必要があります。

本課題における特に重要な留意点
①自由度の高い課題条件
 平成24年以降の試験内容の見直しが行われて以来、課題条件が比較的、自由度の高いものとなってきたということが、近年の注目すべき傾向としてあげられます。これは詳細なことまで全てを課題条件として示すのではなく、設計者(受験者)の判断の余地を比較的大きく残す課題条件とするという意味で、例えば近年の課題では、必要となる主要な室名は示されても、各々の室面積は多くの場合、受験者自身で適確に判断することが求められるようになってきています。
 それだけ、課題としては高度なものとなってきたといえますが、特に本年の課題における「ライフステージの変化に対応」するための条件として、無論、基本的な条件は課題に示されるとしても、必ずしも全ての条件が示される訳ではなく、基本的な条件から受験者が適確に判断しなければならない余地が残される可能性もあると考えられます。

②課題条件の正確な把握力、提案力
 このため、先ず受験者は、正確に課題の基本的条件を把握する力とともに、それらを踏まえて課題に示されていない諸々の条件については適確に判断し、提案して行く力が必要となります。
以上は設計を始めるために必要な重要な前提条件ともなるもので、合否を決める第一の鍵ともいえます。


 本会の講座では、上記のような課題の特徴に伴う課題のポイント、留意点等を踏まえ、設計・製図・要点記述等について基礎から応用まで、徹底した厳選課題による懇切丁寧な指導により着実な合格力を養成し、毎年高実績を上げています。
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