第7回日越伝統木造建築交流会議

日程

2018年4月25日(火)~4月29日(日)
4月25日9:30
18:15
成田発
HUE ホテル着
4月26日AM王宮視察
同上14:00修復現場調査(太廟・Trieu Mieu Temple)の落成式
グエン王朝(Nguyen Lord 1558年)初代霊廟
南郊壇(Nam Giao Esplanade)
4月27日2:30Nam Giao Esplanada (王室の儀式) 参列
同上8:30開所式参列
同上14:45フエ王宮内 静明楼/ 延福長公祠模型の寄贈式 及び署名式
ファン・タン・ハイ氏(フエ遺跡保存センター所長)スピーチ
中村光彦・海老原忠夫・今井・中川武スピーチ
同上20:00FESTIVAL HUE2018
4月28日8:30王宮視察
4月29日8:30フエ歴史基金の会議
 17:00ホテル出発 ホーチミンへ
(成田は日本時間、ほかは現地時間表示)

第7回日越伝統木造建築交流会議 報告

   ―ベトナム・フエの世界遺産の修復への協定書調印―
模型 本会は、ベトナム中部の古都フエにある世界遺産の伝統木造建築群の修復・保存に向け、平成30年4月25日~29日に、旧王宮の保存・管理などを担う同国公的機関「フエ遺跡保存センター」と新たな協定を結んだ。技術協力や人材育成に協力し、世界的に貴重な文化遺産である伝統木造建築の集積地であるフエの歴史的建築物の継承につなげていくことを目途としている。

技術交流協定書の調印

フエは、19~20世紀に阮(グエン)王朝の首都として栄え、市内中央を流れるフォーン川の北岸の広大な区域に、旧王宮や寺院、皇帝廟といった伝統的な木造建築群が点在している。これらは、一括して1993年に同国で初めて世界遺産に登録された。しかし、高温多湿という気候の影響で木材の腐食など劣化が進んでいる上に、ベトナム戦争などによる損傷もあり、修復・保存が大きな課題となっている。
本会は、日本国内で木造建築文化の継承や人材育成に取り組んできた経験・ノウハウを基に、ベトナムなどで遺跡の保存・研究に長年携わってきた中川武早稲田大学名誉教授の協力を得ながら、支援を展開してきた。最初の覚書は2012年に交換しており、日越伝統木造建築交流会議や日越独仏韓5カ国による国際シンポジウムも開催してきた。 今回の訪問では、本会から海老原忠夫副会長や中村光彦専務理事、一糸左近理事、今井正敏監事らと、中川武名誉教授らが参加した。2名の国連教育科学文化機関(ユネスコ)の専門家も出席する中で、中村光彦専務理事と同センターのファン・タン・ハイ所長が従来の協力をさらに発展させていく内容の協定書に署名した。ハイ所長は、「実践的な成果を得て、修復工事に役立つことを期待している」と述べた。
この協定は、同国への伝統木造建築に係わる技術協力を促進するための環境整備を主目的とするものであるが、当面は、4年間をめどに、シロアリ対策や防腐対策、構造解析、模型による伝統木造建築の比較研究などに取り組むこととし、両国専門家による研究組織を設けることや、シンポジウム等により専門知識を共有することも盛り込んでいる。 技術協力には、ソフトとハードの面での協力が考えられるが、ソフト面では、歴史的な意匠などを忠実に再現するための研究・分析や、一連の作業を記録して後世に伝えるような対応が例に挙げられ、また、ハード面では、同国の木材の性質を踏まえた力学的な解析や腐朽対策に加え、環境面にも配慮したシロアリ対策の実施なども対象になると考えられる。

参加者 本会としても、効果的な協力の在り方を精査しつつ、今後の支援の大枠を検討して、支援を積み重ねながら、将来的には同国側だけで十分な修復などができるような態勢をととのえてもらうことを目的としている。
両国は気候風土が似ている一方で、我国には地震や台風が多いなど異なる問題も抱えている。類似点と相違点をしっかりと分析して修復に協力していくことは、我国の伝統木造建築の今後の対応を考えていく上でも、大きな参考になると思われ、また単一の建物ではなく、面的な広がりがある世界遺産への対応という意味でも、貴重な経験が得られると考えられる。

貴族住宅の模型贈呈

模型 本会は、現存するフエの貴族住宅「延福長公主祠」の模型も製作し、今回の調印式を機に、同センターへ寄贈し、旧王宮内で既に展示が始まっている。同住宅は登り梁を用いて大きな空間を造り上げており、「フエの伝統的な木造建築の代表」と言われる。模型では、構造上の特徴などを正確に再現しており、構造的な検討にも利用できるよう厳密性を伴うことが重要だとの考えの基に模型が製作された。世界遺産の修復では、国連教育科学文化機関(ユネスコ)により再評価が実施され、修復・復元の在り方も改めて問われることになっている。この建物は旧王宮の城郭外に立地しているが、世界遺産となっている建造物群と類似点が多く、現存資料が限られている中で、非常に貴重な存在とされている。 製作に当たっては、今井監事が調査や技術指導を実施し、現存する住宅の修復工事にも協力した中川名誉教授が監修を行った。中川名誉教授は「このような建築はベトナムの首都のハノイにも無い。非常にユニークだ」と述べるとともに、「部材にどのような力がかかっているのかなど研究することはたくさんあり、これらの研究のために模型の利用価値は非常に大きい」と述べた。

会議 会議 会議